人にも環境にもやさしい極圧潤滑剤「EXLUB」
お話:柴沼 義裕 (アイリス株式会社)、聞き手:棈木亮二
メンテナンスの頻度を下げるEXLUBを自転車にも
過酷・危険な現場でメンテナンス作業行う作業員の負担の軽減、健康維持のために提供しようという発想からスタートしました。
例えば一週間に行っている頻度が一か月に一回になれば身体の負担も軽減できますね。
このようなご提案から、工業用としてEXLUBの販売を始めました。
そして、私も自転車に乗っているものですから、このEXLUBの技術なら自転車用にも使えるんじゃないかというアイディアから自転車業界へも飛び込みました。
最初は、ご縁がありましたホイール・ハブメーカさんのご厚意で、宇都宮シクロクロスの会場で一緒に出店させていただきました。その後は東京シクロクロスなどに連続して出店するようになり、今ではシクロクロスでのEXLUBユーザーが大変多くなってきました。
左から、EXLUB-20、EXLUB-50、EXLUB-60、EXLUB-180。(詳細はページ下部をご参照ください。)
極圧潤滑剤とは
EXLUBは極圧潤滑剤です。潤滑剤の中の成分に極圧剤と呼ばれるものが含まれています。EXLUBに含まれる極圧剤には、表面に皮膜をつくるという特徴があります。
この極圧潤滑剤にトルクがかかると、金属表面に皮膜をつくります。金属表面を顕微鏡で見ますとざらついていて、これが摩擦抵抗を生むのですが、このざらついた表面に膜をつくることによって、摩擦を大幅に減らすことができる。これが、EXLUBの作用です。
通常の潤滑剤というのは、ざらつきにオイルが浸潤していって滑り効果を持つものになるのですが、水やクリーナーで落ちてしまいます。EXLUBの場合は、被膜が表面のざらつきを覆うことで、落ちにくい構造になります。
MTBやシクロクロスなど、泥水や砂などが多いマッドなレースに出場するサイクリストに人気が高いのは、このような優れた性能があるためです。SDA王滝のような耐久性を必要とする過酷なレースの出走参加者からは、「通常60〜70kmでオイル切れをおこすところを、EXLUBでチェーンをチューニングすれば100kmは余裕で走り切れる」と、絶賛していただいていますね。
他にも、ロードやトライアスロンの選手からは「タッチが軽くなる!」とか、電動バイクのようなトルクが大きくかかるユーザーにも好評です。
また最近は、Zwiftに最適といったお客様の声も多く届いています。
ほとんど匂いを感じないことや、長距離走れるところが、大きな理由のようですね。
EXLUBは環境にも人にもやさしい
極圧潤滑剤というものは、他社からもいくつか製品が出ています。一般的に極圧潤滑剤は、塩素を使う場合が多いです。塩素の割合が増えるほど極圧性、被膜をつくる効果が高くなります。ただ、塩素はあまり人体には良くないです。特にスプレータイプですと、知らないうちに体内に吸い込んでしまう可能性もあります。また、環境リスクも懸念されています。
EXLUBの大きな特長として、塩素を一切使用していません。より環境に配慮した極圧剤を使っていますので、匂いも少ないです。これまでの極圧剤イコール塩素という概念をくつがえし、新素材を開発して、環境や人に優しい極圧潤滑剤をつくったというのが、EXLUBです。
180mLのスプレータイプが新登場
新しく、180mLのスプレータイプを発売しました。今までよりサイズを小さくして、リフトアップノズルがつきました。中身は他のスプレータイプと同じです。
原液タイプ、スプレータイプの2種類あります。
原液タイプは、主にチェーンにさしていただく用途として、スプレータイプは、ディレーラー、BBまわり、ワイヤーのインナーなど、原液が入りにくい場所に吹き付けるようにお使いいただくのをおすすめしてます。
なぜ用途を分けているかといいますと、スプレータイプは拡散しますので、チェーンにお使いいただくと、ディスクローターやリムに付着してしまう可能性があります。そうすると、ブレーキが効かなくなります。もしもワイヤーを止めている部分に付着しますと、ワイヤーが滑り抜けてしまうという事態にもなります。
EXLUBがついてしまいますと、ヤスリで削り落とすしかありません。ブレーキ周りやワイヤーなどに付着するという事態を避けるためにも、正しく使い分けていただくのを推奨してます。
他にも、チェーンひとこまずつに垂らしていただく50cc/20ccのタイプがあります。
60cc入りはジャータイプという特殊な形状になっており、付属のスティックでチェーンひとこまずつに垂らして使用します。最初は、私がやりやすかったので使っていましたら、「それは売ってないの?」とお客様からお声をいただいたことで商品化されました。チェーンの状態を見ながら、愛車を丁寧にメンテナンスしたい方に、大変ご好評いただいているタイプです。
また、このジャーケースは中蓋がないのに、横倒ししても漏れないという特殊なケースになり、容器のみでも販売しています。構造は特許を取得しており、元は漏らしたくない液体や汚染物を運ぶためのボトルとして作られましたので、中身が漏れないようにできています。
AJOCC棈木が、ちょっと深堀りしてみました!
(敬称略)
- 棈木
- お話を伺っていると、ワックスみたいな感じがしますね。
- 柴沼
- デコボコを埋めて滑りやすくするという意味では、ワックスみたいだというユーザー様も実際いらっしゃいます。
- 棈木
- しかも、一種類なんですね?
- 柴沼
- はい、ドライ系でもウェット系でもありません。
- 棈木
- 実際に使ってみて、玄関に2台自転車を置いてあるのですが、匂いがしないのはかなり実感しています!
- 柴沼
- そうですね、特に女性はにおいに敏感な方も多いようで、女性ユーザーからも好評です。また、車内に自転車を積んだ際に、においが気になる...という方も、EXLUBに変えてから、ほとんどにおいが気にならなくなっているそうです。
- 棈木
- 自転車に乗っていて、被膜が薄いように感じます。
- 柴沼
- 被膜はとても薄いのですが、実はヤスリで削らないと取れないような被膜で、非常に硬くて強いです。
- 棈木
- なるほど、薄いというより硬いということなんですね。
- 柴沼
- そうですね。スムースでタッチが良くなったというご意見も聞きますし、音鳴りがなくなったというお話も聞いています。
- 棈木
- もしEXLUBを落としたい場合には、どうすればよいのですか?
- 柴沼
- ヤスリで削り落とすとか、また自然に摩耗で削れて落ちるのを待つしかありません。しかし、皮膜を落とす必要は全くありません。
したがいまして、デグリースする、オイルを落とすというメンテナンスが必要ありません。
ただし、走りこんでいるうちに、チェーンの表面に黒ズミのような汚れが出てきます。しかしこの場合は、表面の汚れをサッと軽く拭き取っていただくだけで表面の美しさを保てます。これもEXLUBのよいところです。
使っていて、だんだんEXLUBが薄れてきたな...と感じたら、表面の汚れだけ落としていただいて、上塗りするだけでOKです。EXLUB自体をオフする必要は全くないのです。
Info
EXLUB-20 880円 (税込)
EXLUB-50 1,760円 (税込)
EXLUB-60 2,530円 (税込)
EXLUB-180 2,750円 (税込)
EXLUB-20、EXLUB-50:リキッドタイプ(点眼ボトル)
EXLUB-60:リキッドタイプ(ジャーボトル)
EXLUB-180:エアロゾルタイプ(スプレー缶)