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第30回シクロクロス全日本選手権

栃木県宇都宮市 道の駅うつのみやろまんちっく村

織田、小林連覇。選手権者に波乱なし。

第30回シクロクロス全日本選手権

栃木県宇都宮市 道の駅うつのみやろまんちっく村 
2024年12月14-15日

1年前は、午後は吹雪になる荒天であったが、今年は二日間とも穏やかな天候であった。
広い平野の空に雲はなく、朝は冷え込み、昼は風がなく、寒さが緩み、過ごしやすい冬の日だった。

しかし、いろいろな事がおこるのであった。皆進行方向と自転車の向きがあっていない。
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2024年12月14日 マスターズ、公開競技

チームエンデューロ

今回は公開競技はシングルスピードでなく、チームエンデューロが行われた。

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ここ数年は、ガチガチの選手権のほかに、プラス1の試みが続いている。このチーム戦は、世界選手権でも行われていることが今回行われる理由だろう。だが、選手たちはガチだ。

朝1本目のこの試合に出ることは、明日、この同じ時間帯に競争をするアンダーの選手には有利に働くことであろう。
この会場は、何もなければ、冷え込んで霜で凍り、表面が溶けてぬかるみ、そして午後には乾いて固まる。別のコースのように表情が変わる。

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1位 MTBO bros 綾野 尋 Hannes Hnilica

2位 CORAGGIO KAWANISHI U-19 三上 将醐 金澤 拓世

3位 RIDE MASHUN 松本 駿 松本一成

特別表彰

mud sporks with D 宇賀神 善之 大嶋 一輝 山﨑 洋一

この試合は、別の意味では二日間の前哨戦。年代、所属クラスごちゃまぜだが、間違いなく、この後の試合で、健闘を見せてくれる者たちだ。

男子マスターズ 60+

昨年の覇者 増田選手と、遠征し、これまで何度も直接対決をしてきた佐藤選手、久馬選手。
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佐藤選手は、スタートダッシュでのポジション争いのリスクよりも、何秒だったら詰められるという自信を優先し、中盤までは大勢の中に埋もれている。大勢の中探さないと分からない。大勢の選手が、「あ、佐藤さんだ。」「だめだついていけない。」そう思いながら上がっていくところを見送っている。

遅れた佐藤選手に対し、始めから先頭を行くのは増田選手。そして、中盤。この3人に完全に絞られて、3人が交互に攻撃をかけあう展開になった。最後、障害板を越え、芝生広場で昨年覇者 増田選手はわずかな差を詰められず、ついに佐藤選手を見送った。

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1 佐藤 スワコレーシングチーム 31:26.401
2 増田 謙一 SHIDO -WORKS 1.57
3 久馬 逸志 今日も押しまs 11.037

女子マスターズ

伊藤選手と渡辺選手のマッチレース はるばる参戦 伊藤選手の勝利

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1 伊藤 あすみ マッディわかやま 33:30.40
2 渡辺 佳織 AXIS 0:07
3 西山 みゆき 0:58

男子マスターズ 50-59

4連覇していた大原選手は欠場。そこへ上がって来たのは40歳台を2015年飯山から5連覇した筧選手弟。6勝目。あのとき6連覇を止めたのは生田目選手。ふたりの闘いは3週目の生田目選手の ミスで決した。以後は筧選手の独走。

上がって来た兄弟弟子に敗れた生田目選手は、敗れながらも嬉しそうであった。昨年、一言もしゃべらなかったのとあまりに対照的でこれからの同じ世代の対決が楽しみなのだろう。

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1 筧 五郎 56 28:58.00
2 生田目 修 イナーメ信濃山形&大幸ハーネス 0:18
3 杉原 貴弘 チーム バケラッタ 1:01

男子マスターズ 40-49

今年も詰められなかったゼロ秒。宇都宮まで来て繰り広げられたのはいつもの関西シクロの面々での試合展開。またも村田選手と斉藤選手のマッチレース。途中斉藤選手がリードすることもあったがフィニッシュでは村田選手。5連覇。

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1 村田 憲治 岩井商会レーシング 43:25.80
2 斉藤 和哉 シルクロード 0:00
3 藤田 耕志 RINGO ROAD 0:18

男子マスターズ 35-39

城島選手がこれまで連覇してきたが、ここのクラスは、誰が来年エリートから転向してくるか分からない。地元で成績を出している佐野選手が危なげなく優勝。

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1 佐野 千尋 イナーメ信濃山形 42:11.20
2 佐川 祐太 SNEL 0:36
3 岡本 紘幸 NESTO FACTORY RACING 1:20

https://data.cyclocross.jp/meet/JPN-245-001

Day2 各年代と男女エリート

大会2日目も穏やかな日だった。

男子 U15

ここ数年の流れの通り、U15、17は皆、障害板は跳んでいく。
飯島選手が跳びぬけており、それを視界に捉えながら追いつけない渡井選手。
凍った斜面の折り返しに苦労した富樫選手がU17とのパックで3,4位争い。表彰台に滑り込んだ。

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1 飯島 大也 Team CHAINRING 22:01.80
2 渡井 健太 AVENTURA VICTORIA RACING 0:26
3 富樫 悠太郎 CROSS YAMANASHI 1:46

女子U15

斎藤選手がずば抜けた2連覇。

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1 齋藤 結陽 Limited Team 846 26:01.10
2 数元 陽華 - 2:36
3 綱嶋 勇音 ボンシャンス 2:41

男子 U17

ここも三上選手が圧勝。 U15時代に1勝。今回2勝目。

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1 三上 将醐 アスリチューン・CORAGGIO KAWANISHI U-19 20:50.50
2 蜂須賀 巧真 BUCYO COFFEE/Urban Deer Cycling Team 0:53
3 郷津 輝 Dream Seeker Jr. Racing Team 1:12

女子 U17

日吉選手 U15から始まり 4連覇。

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1 日吉 彩華 Teamまるいち/岐阜第一高等学校 24:13.40
2 小林 碧 ProRide 1:13
3 皆木 海音 AVENTURA CYCLING 2:41

男子ジュニア

成田選手 連覇。野嵜選手とのマッチレースを今回も制した。同年代にライバルがいることはお互いにいいことだ。
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1 成田 光志 OLIVE 39:01.10
2 野嵜 然新 桐光学園高等学校/RACING TORQUE 0:27
3 松村 拓弥 群馬工業高等専門学校 1:26

女子ジュニア

石川選手 U15,U17に続いてジュニアでも勝利。圧勝。

1 石川 七海 Champion System Japan TT 轍屋 40:53.30
2 寺本 彩玖子 and more 7:59

男子U23

柚木選手U23で2勝目。
スタートループでいきなり柚木選手は失敗。砂の区間のトルクをかける重いギヤで三段坂へ行ったのだろう。いきなりの足つき。序盤のミスは取り返せるが、長い時間をかけて払う代償だった。高橋選手と永野選手のふたり。そして間があいて柚木選手を含む4人。高橋選手に引かせて付いて行けば、柚木選手ひとりに引かせて付いて行けば。それぞれの思惑のシナリオがふたつのグループに生じた。
しかし、永野選手が切れ、柚木選手が高橋選手を捉え、実力通りのふたりのマッチレースになった。

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1 柚木 伸元 日本大学 47:36.40
2 高橋 翔 TeensMAP 0:08
3 遠藤 紘介 Olandabase/Watersley 2:38

男子エリート

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U23年代ながら、今季エリートに勝っている副島選手はエリートに場所を移した。織田選手、副島選手、沢田選手の3人で、交互に仕掛けながら試合は展開した。少し遅れて横山選手、そして竹ノ内選手、鈴木来人のふたり。
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スリッピーな斜面でロスしないこと。ここの失敗は誰でも起こりうることだ。ここの3秒のミスはそのあとの300mで取り返せる。

 決定的なのは、斜面を登り切った直後のさほどスピードが上がらないところに仕掛けられた障害板から先だ。お客さんから離れた、トリックのない平坦区間だ。ここからは安全な固い路面が長く続く。途中で緩く90度に曲がり減速することはない。風が変わる。通常の周回では、ここは回復区間だが、苦しんでライバルに10秒の差をつける所でもある。

最後の最後でなく、30分の半ばで織田選手のアタックが決まった。ばらける2,3位

マウンテンでアジア、全日本獲った。織田選手に今季これまで勝った。誰よりも練習した、誰よりも我慢したはずだ。その自信が否定された副島選手、沢田選手。まだ足りないのか。とゴール後はそれぞれ感情が抑えきれなかった。

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1 織田 聖 弱虫ペダルサイクリングチーム 57:12.70
2 副島 達海 大阪産業大学 0:25
3 沢田 時 宇都宮ブリッツェン 0:56

女子エリート

始めから小林選手の独走。今年何度も、別の種目でも見られた景色だった。隣を誰かが走る試合展開は一切なかった。勝っても昨年のような抑えきれない感情が沸くこともない。ここにいてはいけない選手だで、ここは通過点だ。新しい挑戦に送り出してあげよう。
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1 小林 あか里 弱虫ペダルサイクリングチーム 51:51.10
2 渡部 春雅 明治大学 0:53
3 石田 唯 TRKWorks 1:09

結果はこちら

https://data.cyclocross.jp/meet/JPN-245-002

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先シーズン、ここで1月に梅が咲いているのを見て、季節を先取したことに気づいたような嬉しい気持ちだった。芝生広場とドッグランのキャンバーの間に1列に咲いている。
冬至梅(とうじうめ)というのは、その名の通り、12月に咲く品種らしい。この日見た景色は既視感のある風景ばかりだった。波乱なく穏やかな2日間は終った。

東北道の夕方の帰り道は、日本はいいなあ、と思う景色だった。

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文 岡本慎治

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